2020年現在、日本では議論はされているものの、夫婦別姓は法律上認められていません。令和の日本でも「結婚したら夫の姓を名乗って当然」という考え方が根強くあります。
もはや「常識」のように考えている方も多いです。妻が夫の姓に改姓するケースがほとんどで、女性には多くの負担がかかっています。数字にすると95%は女性が改姓しているようです。
会社によって仕事上は旧姓の使用を認められているケースもありますが、結婚したらすぐに社内でも改姓の手続きを必要とする会社も少なくありません。
認められないことで生じる不利益とは何なのか?なぜ夫婦別姓が認められていないのか?一緒に考えてみましょう。
夫婦別姓が認められないと、どんな不利益が発生するのか?
①全ての名義を変更しなくてはならない
運転免許証、会社への届け出、保険の名義変更、クレジットカード、銀行口座やパスポートの氏名変更などの煩雑な手続きを行わなくてはなりません。
銀行口座の氏名変更に合わせて、新しく印鑑を作る必要もありますね。(最近は印鑑不要という論調がありますが、今のところはまだしばらくは必要そうです。)
これらの手続きを一気に終えようをすると役所や関係機関をまわる必要があり、まる1日以上かかってしまいます。また記入しなくてはいけない書類の数も膨大です。
平日の昼間しかできない手続きも多くあります。またオンライン化もあまり進んでいないのが現状です。
入籍後、手続きのために1~2日の有休を取得する女性もいるほど、手間と時間がかかる手続きです。
②結婚前と同一人物と認識されにくい
仕事を始めて、数年経った頃に結婚したとします。勤めている会社で旧姓の使用が認められていない場合、新姓の名刺を持って改めて挨拶まわりをする必要があります。
仕事上では、苗字で呼び合うことがほとんどでしょう。つまり姓が変わるということは名前が変わること同然です。
せっかく親しくなれた取引先の方になかなか覚えていただけないこともあり得ます。最悪の場合、同一人物と認識されなくなる可能性もあります。
これはビジネスパーソンにとって大きな痛手です。また日本では社内で旧姓の使用を認めている会社は少数派のようです。
③改姓した方の負担が大きく、新婚早々にケンカの原因にもなりえる
先にお話した通り、改姓とするのはよほど特別な事情がない限り、女性です。手続きの煩雑さ、仕事上で何度も改姓したことを伝えなくてはならない手間にくわえ、慣れ親しんだ旧姓をもう使えなくなる寂しさもあります。
一方、夫の方は会社へ結婚したことの報告と手続きだけで、具体的な手続きはほぼありません。
この手間の大きな差が夫婦間の軋轢を生む可能性もあります。いくら愛する人と結婚したとはいえ、今までの生活とは大きな変化のある結婚生活。ちょっとしたことがケンカの火種になりかねません。
慣れない生活に加え、膨大な手続きもこなしている奥さまを旦那さまがちゃんと労ってあげてくださいね。せっかくの新婚生活、こんなことでケンカしてしまったらもったいないです。
④結婚・離婚というプライパシーが名前でわかってしまう
姓を変えたということは、結婚または離婚をしたということが周りの人に容易に知れてしまいます。結婚はともかく、離婚したということはあまり積極的に知らせたくない情報でしょう。
結婚した後に出会った取引先の方に「お名前が変わったということはご結婚されたんですか?」と聞かれたら、いい思いはしませんよね。
また職場などに旧姓に戻った方がいたら、まわりの方が「あれ?いつの間にか離婚したの?」と余計な気を遣ってしまうケースも考えられますね。
名前だけで、必要以上の人たちに結婚・離婚というプライパシ―が伝わってしまうのは望ましくありません。
⑤離婚した際に子どもも名前が変わる可能性がある
あまり考えたくはありませんが、万が一離婚する際に子どもがいた場合は、当然子どもの姓も変わります。
手続き自体は親が行うので問題は少ないと思います。しかし、子どものメンタルが傷付く可能性があります。姓が変わったら親が離婚した、とすぐにクラスメイトに知られてしまいますよね。
特に多感な思春期の子どもの場合、それが原因となっていじめられたり、周りが過度に気を遣ってしまったりと、子どもに悪影響を及ぼす可能性がないとは言い切れません。
まとめ
諸外国では夫婦別姓が基本だったり、お互いの姓を合わせた「結合姓」、同姓も別姓も選べるなど、様々なケースがあります。実は結婚したら、夫婦が同じ姓を名乗らなければならないのは、世界の中で日本だけなんです。
そもそも日本は明治31年に民法で定められたまま、令和の現在に至っています。明治31年は1898年。なんと100年以上前の法律のままなんです。当時は「家制度」が重要視されていました。なので夫婦は同じ姓を名乗ることは当然だったのです。
しかし昨今の女性の社会進出に伴い、妻が姓を変えなくてはいけないとは不公平という意見が大きくなりました。2016年には国連から「夫婦同姓は女性差別」と指摘、撤廃を促す勧告が出されました。現在、日本では別姓の選択もできるように議論されています。
夫婦同姓も別姓も両方とも認められる、自分たちで選択ができる世の中に早くなるといいですね。
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