『無精子症』その字が示すように精液中にまったく精子がみられない症状で、不妊原因のひとつです。
昨今、不妊治療について保険適用にするか否かが論じられていますが、今回は男性側の不妊原因の1つである無精子症の特徴について学んでいきましょう。
無精子症?どんな特徴があるの?治療方法は?
昔は不妊の原因は女性にあると多くの人が考えていました。しかし現在では、女性男性のどちらか、もしくは両方に不妊の原因があるとわかりました。
不妊原因の半分は男性側にあることも判明しています。
無精子症はいくつかある男性側の不妊の原因の1つです。日本人男性の約1%が患っているとされており、患っている男性の受精率は非常に低いです。
通常、精子は精巣内の精細管と呼ばれる組織でつくられます。そして精管へと運ばれます。通常ならば、精細管の中で精祖細胞栄養をもらいつつ、成長し精子となります。
その過程で問題が生じた状態が「無精子症」です。無精子症には大きくわけて2つの分類があります。
ひとつは「閉塞性無精子症」で、精子自体は通常に作られているものの、通り道が塞がって出てこれらない状態です。無精子症の20%を占めます。
もうひとつは「非閉塞性無精子症」と呼ばれる症状で、そもそも健康な精子が作られていない状態です。こちらの方は患者の方が圧倒的に多く、約80%の方が「非閉塞性無精子症」です。
どちらの症状も、自覚症状がないのも特徴です。通常に射精することができ、精液も通常通り排出されます。特に痛みなどもありません。
なので、不妊症の疑いがある場合に病院で検査しないと患っているかわかりません。(広義では射精できない状態による無精液症も閉塞性無精子症に含むことがあります。)
検査方法は性交渉に関する問診、詳細な身体診察が必要です。またホルモン検査、精液検査、超音波検査などを行い、総合的診断と治療方針の決定が行われます。
原因は喫煙、加齢、飲酒、野菜不足心理的ストレスなどが挙げられます。普段の食生活や生活習慣を見直してみましょう。
また肥満や糖尿病なども原因となります。普段の生活習慣が大きく関わってきます。特に心理的ストレスは重要です。長時間労働や遠距離通勤などストレスフルな生活を送られてる方も多いと思いますが、上手にストレス発散をすることが肝心です。
また電車の中で、座った状態で膝の上でノートパソコンを広げてお仕事をされているサラリーマンの方をよく見かけます。じつはこれパソコンにより睾丸の温度があがり、健康な精子が作られにくくなってしまいます。お忙しいとは思いますが、できる限り避けましょう。
睾丸を温めたり、圧迫する行為はNGです、無精子症と診断された場合、残念ながら自然妊娠は不可能です。
じゃあ無精子症だと妊娠はできないの?
治療が必要ではありますが、妊娠はすることは可能です。
20年ほど前までは無精子症の方は自身の血を引く子どもを作ることは不可能でした。しかし昨今の技術進歩により、治療による妊娠が可能となりました。診察で無精子症と診断されても、絶対に妊娠できないというものではありません。
その後の治療により妊娠された夫婦もたくさんいらっしゃるので、必要以上に悲観的になったり、諦める必要はありません。
「閉塞性無精子症」の場合は、手術として精子の通る道を開通する手術が行われます。手術時間は30分程度で病院によっては、日帰り手術も可能だそうです。
精子自体には問題がないので、万が一精子の通る道を確保できなかったとしても、顕微授精にて妊娠できる可能性があります。
「非閉塞性無精子症」の場合は、ほとんど精子が作られていないため、顕微鏡を使用した手術による、精子採取が必要です。
採取した精子はいったん冷凍保存されます。後日、奥様の卵子と採取して解凍した精子を使用して受精を目指します。
精巣に何らかのダメージを受けて精子をつくる能力が低下していると考えられます。しかし全体がダメージを受けて精子をつくれないのではなく、一部で少しずつ精子を作っていいる部分が残っていることがあります。
手術用の顕微鏡で精子を作っている部分を探し出し、そこから精子を採取します、局所麻酔による手術となり、3時間ほどを要します。個人の状態はそれぞれですが、一般的に30~40%の可能性で精子の採取が可能です。
まとめ
不妊は女性だけの問題ではありません。一般的に否認をせずに性生活を行っているにも関わらず、1年以上妊娠しない場合は「不妊症」と定義されます。
特に男性は不妊治療のための通院に抵抗があるかもしれません。しかし不妊治療は少しでも早い段階で始めたほうが成功率はあがります。
また年齢とともに妊娠率も下げるため、妊娠を希望する場合は早期に夫婦そろって受診することをおすすめします。奥様だけでの通院はNGですよ!
妊娠を望むご夫婦のもとに、1日も早く赤ちゃんが舞い降りてきてくれますよう、無事に生まれてきてくれるよう願わずにはいられません。
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